「人として」を奪った原爆

広島にも長崎にも
原爆死没者の
氏名と遺影を
見ることが出来る
施設がある。


国立広島原爆死没者追悼平和祈念館。
写真は
その入り口部にある
銘文と
「８時１５分」を表す
モニュメント。

この平和祈念館は
あまり
人が訪れないようで
いつも空いている。


私は
毎回訪れるのだが・・・


ここは
どれだけ
たくさんの命が
尊いものであったのか
よりリアルに
感じられる場所なのだ。


同時に
訪れるのが
とても
きつい場所でもあるが。


被爆体験記や
証言映像がある。


そして
犠牲者ひとり一人の
遺影が
映し出される。


生まれたばかりの
赤ちゃん・・・
綺麗なお嫁さん・・・


ここへ来ると
あの戦争で
犠牲となったのは
なんであったのかが
よくわかる。


この祈念館で
期間限定の
企画が
行われていた。


現在
平和記念公園となっている
一体にあった街を
再現している。


そして
その街で
犠牲となった
人々の
証言と遺影を
集めている。


爆心地の
直近の街の
被害が
どういうもので
あったのかが
よくわかる。


数えきれないほどの
遺影の前に
立つと
鳥肌が立つ。


圧倒的に
子どもたちだ。


おかっぱ頭と
坊主頭の
遺影が並ぶ。


米軍の落とした
原子爆弾は
子どもたちの
頭上だったのだ。


この祈念館に
氏名と遺影が
登録されている人は
当然
誰かが
登録をしている。


遺族が
残されている
人たちだ。


一家全滅・・・
親族全滅・・・
という人は
誰かが
登録することは
できない。


友人・知人が・・・
というケースも
あるだろうが
それも
かなわない人がいる。


戸籍上
誰からも
死亡届を
出されていない人が
広島には
無数にいる。


７万人とも
言われている。


あの日から
３３年後以降
広島市長の権限で
抹消されている
戸籍がある。


死亡届が
出されない「死」。


その人が
生きていた証さえ
残すことのできない
「人の死」が
そこここにある。


原爆は
「人間として」
死ぬことさえも
奪っていったのだ。